奈良の妊婦、搬送できずに救急車内で死産

 毎日夕刊紙面ははっきりと「たらいまわし」となっていた。BBCニュースは流産になって初めて病院が受け入れとなっていて、その結果、厚生労働大臣が医師不足を認めて改善を約束したように書かれている。以下はBBCより--
 Miscarriage prompts Japan pledge という見出しだが、「流産になって初めて政府も約束」とでもいう意味だろうか?
 妊婦が8つの病院に診療拒否されたことを受けて、日本の厚生大臣が、医師不足に取り組むことを約束した。
 救急車内で流産して児が死亡した後になっても9番目の病院は受け入れを拒否した。妊娠6ヶ月で、病院からわずか3分のところではまだ生きていた。
 妊婦は郊外に住んでいて、腹痛と出血があり救急車を呼んだ。1時間以上にわたり救急隊員は受け入れてくれる病院を探したが、8つの病院から拒絶された。9つ目の病院へ向かう途中で妊婦は流産し、拒否していた病院はやっと受け入れた。治療は難しかっただろうし、緊急手術で忙しかったとの見解がだされた。
 結局、救急隊が駆けつけてから病院が見つかるまでほぼ3時間かかった。昨年、同じ地域に住む妊婦が、満床を理由に20の病院に入院を断られ死亡した。問題は、日本の医師と救急病院の不足にあり、特に地方がひどい。
 産科医数は減少している-医学生は、専門医になるのに時間がかかることと医療過誤訴訟の増加から敬遠している
 厚生大臣はこの状況の改善に努力すると約束した。しかし、地方で働きたい医師への奨学金のような現在の施策ではたいした改善はないだろう

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Last Updated: Thursday, 30 August 2007, 10:49 GMT 11:49 UK
Miscarriage prompts Japan pledge
http://news.bbc.co.uk/2/hi/asia-pacific/6970192.stm
By Chris Hogg BBC News, Tokyo

画像A Japanese ambulance
Emergency services took nearly three hours to find a bed

Japan's health minister has pledged to address the shortage of doctors in the country after a woman in labour was turned away by eight hospitals.

A ninth hospital refused to admit her even after she miscarried in an ambulance and her baby died.
The woman, who was in the sixth month of her pregnancy, lived just three minutes away from a hospital.
But she was forced to travel 70km (45 miles) by ambulance looking for a facility that would admit her.
The woman, who lives in the countryside, called an ambulance in the middle of the night because she was suffering from stomach pains and bleeding.
For more than an hour the ambulance crew tried to find a hospital to accept her. Eight refused.
Then on the way to a ninth hospital the ambulance crashed and the woman miscarried. The hospital then changed its mind and refused to admit her.
An official told ambulance staff that treatment would be difficult and they were already busy with an emergency operation.
Eventually, almost three hours after they first arrived to pick her up, the ambulance crew found a hospital that would take her.
Long hours
Last year a pregnant woman who lived in the same area died after she was refused admission by about 20 hospitals which said their beds were full.
The problem is there are neither enough doctors in Japan, nor emergency facilities.
It is especially bad in rural areas.
The number of obstetricians has declined - medical students are said to be put off by the long hours of training needed to qualify and a rise in the number of malpractice suits.
The health minister has promised to try to improve the situation. But measures already in place - like scholarships for doctors willing to work in rural areas - have not made much of a difference.

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受け入れ拒否 死産
1年前には妊婦死亡
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20070830-OYT8T00057.htm
 奈良県内から救急搬送された妊婦が29日、同県や大阪府などの計9病院で受け入れを断られ、救急車内で死産した。
 同県では昨年も、公立病院で分娩(ぶんべん)中に意識不明となった妊婦が、同府内などの19病院に受け入れを断られた末、搬送先の病院で8日後に死亡。これを教訓に、県などが妊産婦の救急搬送システムの改善を急いでいるところだった。産科医の不足、それに伴う病院の産科撤退は全国で深刻化しており、命の誕生を担う産科医療が危機に直面している。(大阪社会部 細野直人、茨木崇志、医療情報部 館林牧子)
妊婦搬送の経過
午前 2時44分 奈良県橿原市内のスーパーで女性が体調を崩し、知人が119番通報
 2時52分 中和広域消防組合の救急車が到着
 2時55分 奈良県立医大産婦人科に受け入れ要請。「手術中」のため搬送できず
 3時ごろ~4時すぎ 大阪府内の5病院に要請したが、「処置中」などとの返答。その後、県立医大産婦人科・救命センター、同府内の3病院に要請したが、「2次輪番へ行ってください」などと断られる。この間、女性はスーパー駐車場に止めた救急車内で待機
 4時19分 同府高槻市内の病院が受け入れ許可。救急車出発
 5時5分 女性が救急車内で死産
 5時9分 高槻市内で救急車が交通事故
 5時15分 高槻市消防本部が同市内の病院に電話するが、「受け入れ困難」と回答。他の2病院も断る
 5時30分 高槻市内の病院に再度要請し、受け入れ許可
 5時46分 病院に到着

周産期センター6県で未整備
 厚生労働省は1996年度から、「総合周産期母子医療センター」を全都道府県に最低1か所整備する計画を進めてきた。今年度までに全都道府県で整備を完了するのが目標だったが、奈良県を含む6県では、現時点で未整備のまま。このうち、岐阜、鹿児島は今年度中に整備される予定だが、奈良、山形、佐賀、宮崎は、来年度以降にずれ込む見込み。病床確保や人員配置が追いつかないのが原因と見られる。
 今回の事態を受け、厚労省は、センターの整備を急ぐとともに、整備までの期間も十分な対応ができる体制をとるよう、奈良県はじめ関係各県に求めた。
救急搬送の改善進まず
 午前2時55分、奈良県橿原市の県立医大病院で、当直の職員が電話を取った。中和広域消防組合通信指令課から、産婦人科への患者受け入れ要請だった。当直の医師は2人で、ベッドは2床空いていた。
 職員は医師に連絡したが、この1分前に別の妊婦が搬送されていた。医師は「お産の診察中。後にしてほしい」と話し、職員は「患者が入った」と消防に伝えた。もう1人の医師は、帝王切開した入院患者につきっきりだった。
 午前4時過ぎの2回目の要請にもこたえられず、3回目は同病院の救命センターに要請があったが、「患者の状態を聞く限り、治療対象ではないのでほかをあたって」と断ったという。
 奈良県には、リスクの高い妊婦を受け入れる総合周産期母子医療センターがないうえ、昨年以降、医師不足で産科を閉鎖する病院も相次ぎ、患者が県立医大などの基幹病院に集中。昨年8月に同県大淀町立大淀病院から搬送された妊婦が死亡した問題でも、県立医大病院は「満床」を理由に受け入れを断っている。
 29日に記者会見した県は「対応はやむを得なかった。県全体でカバーする取り組みが必要」と説明した。
 県内の他の産科救急の病院も受け入れ不可能だったため、消防は大阪市消防局などに電話で照会をかけながら病院を探した。同市内などの7病院と府立母子保健総合医療センター(和泉市)に電話を入れたが、通報から1時間半後に受け入れ先が見つかるまで断られ続けた。
 その理由の多くは「処置中」だった。大阪市西淀川区の病院は「未明に4人の分娩があり、1人が帝王切開。さらに2人が待機中の状態で、当直医1人に加え、もう1人の医師を呼び出すなど手いっぱいだった」と話す。府内も公立病院の産婦人科休診などが相次ぎ、分娩可能な施設は200程度に過ぎない。
 同医療センターの場合、受け入れ可能な体制はあった。センターは切迫早産や前置胎盤などハイリスク患者に対応するための施設で、軽症患者は原則、対象外だが、これまでも症状によっては受け入れてきた。センターによると、「患者を搬送できるか」という消防からの電話に応対したオペレーターが「紹介型病院で一般救急は受け付けていない」と答えた上で、医師に電話をつなぐかどうかを尋ねたところ、消防側は搬送をあきらめた、という。センターの末原則幸産科部長は「出血があり死産の可能性があると聞けば、受け入れることはできた。病院からの転送依頼なら、すぐにドクターと連絡を取るようにしているが」と悔やむ。
 センターに対するハイリスク患者の転院依頼は年間約400件あるが、ベッド数不足などで、受け入れ可能なのは3割程度。末原部長は「救急患者を無条件に受け入れることはできない。市民病院など地域の救急病院の体制を強化する必要がある」と話す。
 総合周産期母子医療センター 危険な状態にある妊婦や胎児の処置にも対応できる高度な機能を持った拠点医療施設。国の指針で、都道府県の人口が100万人以上の場合、「新生児集中治療管理室」が9床以上など、設備の基準が定められている。
産科医、施設全国で減少 30病院で断られた例も
 妊婦が“たらい回し”にされるのは、関西地方だけの問題ではない。国立成育医療センター(東京都世田谷区)の久保隆彦・産科医長は「首都圏でも妊婦の受け入れは難しくなっており、たとえば、神奈川県から千葉県や静岡県などへ搬送されるのは日常茶飯事。9病院から断られたと聞いても、特に驚かない」と話す。久保医長によると、神奈川県で今年、妊娠中期に破水した妊婦が約30病院に受け入れを断られた例もあったという。
 こうした事態の背景に、産科医の不足と、お産を扱う医療機関の減少がある。
 全国の産婦人科医は、2004年に1万594人と、10年間で7%減少。日本産科婦人科学会によると、出産を扱う医療機関は1993年に4286施設あったが、2005年に3056施設に激減した。
 都市部では、地域の中核病院や診療所の産科が閉じ、大病院にお産が集中。産科のベッドはいつも満床で、緊急に対処が必要な妊産婦の診療要請があっても、受け入れる余裕がない状態が慢性化している。
 全国の総合周産期母子医療センターへの調査では、母体の救急搬送を受け入れた率は、2005年に全国平均で67%だったが、東京と大阪の都市部では44%と極端に低かった。調査した全国周産期医療連絡協議会は「救急搬送体制は都道府県単位だが、現実には県境をまたいだ搬送が日常的になっており、それを円滑に実施するシステムが必要」と指摘する。
 地方では産科医不足は一層深刻で、産科医がいない空白地帯もある。北海道根室市では昨年9月から常勤の産科医が不在で、妊婦は緊急時や出産の際は約120キロ離れた釧路市の病院に行く。道内の3大学が協力、地域の中核病院に医師を派遣し、100キロ圏内に出産できる施設を確保できるよう努めてきたが、医師不足から難しくなったという。
 北海道大産婦人科の水上尚典教授は「産婦人科医は拘束時間が長いうえ、出産にまつわる訴訟が多いのでなり手が減っている。報酬面の改善も含め抜本的な対策が必要だ」と訴える。
一刻も早く抜本対策を
 「このままではまた同じことが起こってしまう」。昨年8月、奈良県の妊婦が“たらい回し”にされた問題を取材した際、ある産科医はそうつぶやいた。医師や病床の不足……。行政側は「医師を派遣する大学医局の問題などもあり、簡単には対応できない」というが、一刻も早く抜本的な対策を取らなければ、悲劇は再び繰り返されてしまう。昨年8月からの1年間は何のためにあったのだろうか。(茨木)
(2007年8月30日 読売新聞)

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搬送中に死産
妊婦の受け入れ先探し かかりつけ医なく遅れ
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20070830-OYT8T00058.htm
 出血などの症状を訴えた奈良県橿原市の妊娠中の女性(38)を受け入れる病院が見つからず、死産した問題で、女性にかかりつけの産科医がいなかったことがわかった。
 医師から要請のあった妊婦については受け入れ病院を探す仕組みがあるが、今回は、消防が各病院に直接受け入れを打診せざるを得ず、搬送先の決定に時間がかかったとみられる。奈良県は「かかりつけ医のいない妊婦の搬送は想定外」とし、制度上の不備がなかったかどうか検証する。
 奈良県によると、危険な状態にある妊婦らを対象にした周産期医療ネットワークがあり、県立医大病院などを窓口に受け入れ先を探す。新生児集中治療室などを備えた43病院がパソコン端末で空床状況などを共有する大阪府の「産婦人科診療相互援助システム(OGCS)」に協力を求める仕組みもある。しかし、原則として、かかりつけ医の要請に基づく病院間の転送に限られている。
 女性にはかかりつけ医がいなかったため、救急要請を受けた橿原市の中和広域消防組合は、こうしたシステムとは別に受け入れ先を探した。同県立医大病院に要請したが、多忙などを理由に断られたため、大阪府内の各病院へ連絡し、10か所目の高槻市内の病院がようやく応じた。この間、女性は救急車内で待機させられた。
 救急車は同市内で事故を起こし、病院到着は119番通報から約3時間後だった。女性は当初、妊娠3か月で事故直前に流産したとされていたが、病院の診断で妊娠7か月とわかったという。
 消防の受け入れ要請を受けたOGCS加盟の大阪市立総合医療センターは「OGCSを利用した転搬送であれば受けられると回答した」と説明している。
 この日、記者会見した奈良県健康安全局の米田雅博次長は「かかりつけ医のいない妊婦への対応策を検討していきたい」と述べた。
 死産 厚生労働省の規程では、妊娠12週以降に死児(死亡した胎児)を出産することをいう。この場合に市区町村に死産届を出す。一方、医学的には、妊娠22週未満に妊娠が終了することを流産という。
昨年は転院拒否も
 昨年8月には、同県大淀町立大淀病院で分娩(ぶんべん)中に意識不明となった高崎実香さん(当時32歳)が計19病院に転院受け入れを拒否され、収容された同府内の病院で、出産から8日後に死亡したケースがあった。夫の晋輔さん(25)(奈良県三郷町)は、読売新聞の取材に「実香の死は何だったのか。この1年、何も改善されていなかったということだ」と憤った。晋輔さんは「緊急時のために医者も病院もあるはずなのに、受け入れ体制を作れないことが一番の問題」と述べた。
厚労相「検証する」
 舛添厚生労働相は29日夜のNHKの番組で、受け入れ病院が見つからず、救急搬送中の妊婦が死産した問題について、「厚労省としてきちんと状況を検証して、しかるべき処置をとりたい」と述べ、調査に乗り出す考えを示した。
 番組終了後、舛添厚労相は記者団に対して、「(奈良県では未整備の)総合周産期母子医療センターの整備を早めるなどの処置が考えられるが、まずは状況を把握したい」と語った。
(2007年8月30日 読売新聞)

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救急車事故:搬送中の妊婦が流産 奈良→大阪、受け入れ先決まらず車中で1時間半
奈良・橿原と大阪・高槻の地図
http://www.mainichi-msn.co.jp/science/medical/archive/news/2007/08/20070829dde001040012000c.html
 29日午前5時10分ごろ、大阪府高槻市富田丘町の国道171号交差点で、妊娠中の奈良県橿原市の女性(36)を搬送中の救急車と軽乗用車が出合い頭に接触した。搬送先の高槻市の病院で、胎児の死亡が確認された。女性は119番から車中で約1時間半も受け入れ先が決まらず、橿原市から約41キロも離れた高槻市の病院へ運ばれる途中だった。昨年8月には、奈良県の妊婦が転送先が見つからずに容体を悪化させて死亡しており、救急体制の不備が浮き彫りになった。
 府警高槻署の調べでは軽乗用車は大阪府茨木市の自営業の男性(51)が運転。他にけが人はなかった。同署は、事故と流産の関連を捜査している。
 女性は同日午前2時44分ごろ、橿原市内のスーパーマーケットで買い物中、「下腹部が痛い」と訴え、同居の男性を介して119番通報した。奈良県の橿原消防署(中和広域消防組合)の救急隊員は同県立医科大に受け入れを要請したが、「手術中のため不可能」と回答された。このため、同消防署は大阪府内の産婦人科などに要請したがいずれも「処置中」などを理由に断られ、10施設目(連絡は延べ12回目)の高槻市の病院に決まったのは同4時19分だった。かかりつけの医者はいなかったらしい。
 高槻市消防本部によると、女性は妊娠20週目だったとみられるという。
 橿原消防署などによると、女性は搬送中の午前5時ごろ、救急車内で破水を起こし、その約10分後に事故に巻き込まれた。病院に着いたのは、通報から約3時間後の同5時46分だった。
 同消防署予防課は「事故による容体の変化は見られなかった。流産との関連は警察の捜査に委ねたい」と話している。
 ◇昨夏は妊婦死亡--奈良
 昨年8月には、奈良県の大淀町立大淀病院で、分娩(ぶんべん)中に意識不明になった妊婦が転送を同県と大阪府内の19病院に断られた末、約60キロ離れた国立循環器病センター(大阪府吹田市)に運ばれ、約1週間後に死亡した。これを受け、国は今年度中に、総合周産期母子医療センターを整備することとしていたが、奈良県など4県で困難な状況に陥っている。
 奈良県では、緊急に高度な治療を要する妊婦を県外の病院に転送する比率が、04年で約37%に上り、全国最悪のレベルだった。母体・胎児の集中治療管理室(MFICU)を備えている病院も、県立医科大学付属病院(橿原市)と県立奈良病院(奈良市)の2カ所だけ。
 奈良県は未整備だった「総合周産期母子医療センター」を来年5月に設置。母体や新生児の救急搬送に対応する予定だった。
毎日新聞 2007年8月29日 東京夕刊

この記事へのコメント

2007年08月31日 19:45
奈良医大が「たらいまわし」としてヤリ玉にあがってしまっている。このままでは奈良県から産科医がいなくなってしまうかもしれない。
最近特に、受入時に救急隊や消防から何度も搬送の受入確認連絡がくるようになっていますね。
都筑てんが
2008年12月25日 19:28
10リットルまでの水しか入らないバケツには、11リットルの水は入りきれません。

1リットルの水がこぼれてしまった事で、周囲の人間が「なんだこのクソバケツ!」と足蹴にしたら、

バケツが凹んで、10リットル入れられたはずの物が、9リットルまでしか入らなくなりました。

…っていうのが、今の日本の医療崩壊(ていうか、マスコミによる医療破壊)の現状。

教訓とかそういう以前の問題。

…。
……。
………。

…マスコミの医療破壊は大成功ですね。
http://punigo.jugem.jp/?eid=500
http://punigo.jugem.jp/?eid=495
http://punigo.jugem.jp/?eid=491

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